2007年3月04日
琵琶湖南湖に発生した上位蜃気楼

烏丸半島琵琶湖博物館方面の蜃気楼

琵琶湖大橋の蜃気楼| |大津市坂本方面の蜃気楼| |唐崎沖の南湖湖心局の蜃気楼

草津市烏丸半島方面の蜃気楼| |草津市下寺町方面の蜃気楼| |草津市山田町方面の蜃気楼

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■ 2007年3月4日(日)、琵琶湖南湖に発生した上位蜃気楼について
 
  昨年末から記録的な暖冬で、南湖での蜃気楼発生が早まるかと期待していました。しかし、
 2月から暖かい日もあれば寒い日もあるという天候でようやく2月27日に、今年度第一号の
 蜃気楼が観測されました。以後、3月2日、3日と蜃気楼が発生ましたが琵琶湖大橋方面に限
 られた方向でした。
  3月4日は大変暖かく、少し動くと体が汗ばむような陽気でまさに蜃気楼日和でした。久々
 に南湖一体に蜃気楼が発生し、琵琶湖大橋や湖岸などが複雑に変化しました。我々の目を長時
 間楽しませてくれました。ただ残念なことに、ここ近年黄砂の影響も加わり、湖上のエアロゾ
 ルのために湖上の視程がよくありません。ただし、観測地から4~5Km程度離れた所に発生
 した蜃気楼は鮮明に見えました。今回撮影した写真の殆どが人間の目で見たほど鮮明でありま
 せん。ここでは、コントラストや明るさなどを調整して何とか観賞できそうな画像を選んで掲
 載しました。


 

■ 琵琶湖博物館方面の蜃気楼
 
070304_biwamuse.jpg (283462 バイト)
 草津市烏丸半島に位置する琵琶湖博物館は、定点観測地から約9Km先にあります。一番上の実景と比較すると博物館周辺は複雑に像変化していることが分かると思います。実景画像では湖面と湖岸の境付近に黒っぽい杭(ビット/船舶係留杭)が多数並んでいるのが分かります。蜃気楼化が始めれば杭とその周辺の地面が変化し鉄格子のように見えたり、板塀状になったりと実在しない光景を蜃気楼像として創り出します。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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■ 琵琶湖大橋の蜃気楼
 
070304_biwabridge.jpg (129302 バイト)
 琵琶湖大橋は琵琶湖の西側の大津市堅田と東側の守山市を結ぶ東西約2Kmのアーチ状の橋です。定点観測地点からは北北東、約13Km沖合いに見えます。上段の写真は実景で、その他は蜃気楼像です。
 2段目の写真は、琵琶湖大橋の西側の橋梁が上方倒立と伸びが複合した状態、右側の橋梁も上方倒立しかけの状態です。橋全体としては通常よりもやや高くなり東西が水平になって見えます。
 3段目の写真は、西側の橋梁の変化はやや収まり、東側の橋梁がZ字型(3像型の蜃気楼)に変形しています。東西で、像の様子が異なるのは興味深いところです。
 4段目の写真は、西側の橋梁を撮影したもので、時間の変化と共に橋梁が多重像の蜃気楼になっています。静止画では分かりませんが、この部分を走行する車が上下に3像以上に分裂した様子が双眼鏡で見えました、非常に面白い像を見せてくれました。
 最後の写真は、東側のZ字型になった橋梁付近を撮影したものです。琵琶湖大橋はよくZ字型の蜃気楼になりますが、毎回Z字型になる部位が一定ではありません。今回は、琵琶湖大橋最高部分周辺でZ字型になりました。やはり、この部分を走行する車を観察するのは面白いものです。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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■ 大津市坂本方面の蜃気楼
 
070304_sakamoto.jpg (74495 バイト)
 琵琶湖の西側、大津市坂本方面の湖岸が蜃気楼化し、“板塀状”の蜃気楼になっています。観測地点からこの方面が近かったことや視程が良かったために鮮明に撮影することができました。この“板塀状”部分をよく見ると、陸地の間に水が入り込んでいるように見えたり、小さなものが上下に分裂した様子が見えます。すまり、複合型の蜃気楼です。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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■ 南湖湖心局の蜃気楼
  
070304_koshinkyoku.jpg (118072 バイト)
 南湖湖心局は大津市唐崎沖に位置し、定点観測地点からは約4Km沖に見えます。観測地点から近いこともあり、通常はあまり変化しません。写真上段は湖心局の実景です。
 中段の写真は、湖心局の屋根の下部から上部にかけて伸びて見えます。実景の水平線付近と比べると、水平線に接するかのように見える琵琶湖大橋が伸びて板塀状になり、湖心局の先端部分と同じ高さになって見えます。
 下段の写真では、湖心局の屋根が下から押し上げられてつぶれたように変形して見えます。また、湖心局を支持する脚は伸びて見えます。実景写真と比較すると、琵琶湖大橋の東側の橋梁は認められず、湖面が伸び上がって“板塀状”になって見えています。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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■ 烏丸半島方面の蜃気楼
  
070304_karasuma.jpg (73046 バイト)
 この地域は定点観測地から見て約9Km先の草津市烏丸半島で、琵琶湖博物館の右手になります。
 上段の写真では、湖岸の風景が伸び、水平一直線状に高さがそろった“板塀状”に変化しています。上位蜃気楼の典型的な例です。その板塀状になった細部を見ると、上下に2段、3段になったようなものが見えます。“板塀状”蜃気楼は、2像型、3像型、タワーリングといった蜃気楼像の複合したものです。元の物体の大きさ、水平方向の長さにもよりますが、2像や3像といった像が単独で現れることは少なく、いろんな像が複合して現れる場合が殆どです。上位蜃気楼を発見するコツは「肉眼で遠方の風景を見て、その風景が不自然に高さがそろって見える」ところを探すことです。また、普段の風景を知っておくことも大切です。
 下段の写真も、風景の高さが水平一直線状になった“板塀状”の蜃気楼です。しかし、左右で湖岸と水面との割合が異なって見えます。よく見ると、中央から右の湖岸は上下に割れている、または陸地に水が入り込んだかのように見えます。これは湖岸と水面周辺が上方倒立したもので、陸地に水が入り込んだように見える部分は湖面が陸地とともに上方倒立したものです。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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■ 草津市下寺町方面の蜃気楼
 
070304_moricoun.jpg (54164 バイト)
 草津市下寺町方面の湖岸に発生した蜃気楼。写真の中央から右にかけて陸地が2つに割れてその間に水が入り込んだように見え、左方向は陸地が縮んだように見える。観測地からみた風景の湖岸と水面ラインの微妙な相違によって、非常に面白いというか不思議な姿に見えます。因みに、写真真中あたりに見える建物は、観測地点から見かけ上、草津市の湖岸あたりにあるかのように見えていますが、守山市にある農協のカントリーエレベーターです。実際は、草津市よりも更に遠方の場所にあります。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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 草津市山田町方面の蜃気楼
 
070304_kitayamada.jpg (40369 バイト)
 観測地点から約4Km先に見える草津市山田町方面に発生した“板塀状”の蜃気楼。観測地点から近い距離に現れたために鮮明に撮影することが出来ました。あまりにも鮮明すぎると、板塀状の蜃気楼と気づかずに“葦などが群生”しているかのように思ってしまいます。写真の右側の水面付近にはこげ茶色の“桟橋”か“台船(平らな台の運搬船)”のようなものが2像型の蜃気楼となって見えています。また、蜃気楼といえませんが中央のビルの窓枠をみると歪んで見えます。
 通常、上位蜃気楼は観測地点から10Km付近によく現れます。一方、4Km付近は観測地点から近すぎるようで滅多に現れません。恐らく日本で、蜃気楼を見ることができる最も近い距離は4Km前後だと思います。逆転層の様子にもると思いますが、琵琶湖で長年観測してきた経験と気象データからこれより近い距離では、光が屈折してもその効果が視覚的に現れないのではないかと推測します。

撮影者:ヒデヨシ会員(焦点距離300~750mm相当の望遠レンズに2倍のテレコンを装着して撮影)

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