2004年3月28日
琵琶湖南湖に発生した上位蜃気楼
|大きく分裂する琵琶湖大橋| |変化する琵琶湖博物館| |大津市堅田付近の蜃気楼|
|蜃気楼化する橋周辺部と遠方の山(比良山)| |遠方の山の蜃気楼|
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■ 2004年03月28日(日)、琵琶湖南湖に発生した上位蜃気楼について この日は、近畿地方が高気圧に覆われた穏やかな晴の一日で小松浜(滋賀郡志賀町北小松)
から見て北湖上にも上位蜃気楼が発生しました。また、富山湾でも上位蜃気楼が発生しました。
琵琶湖の北湖・南湖上に発生した上位蜃気楼(以後、蜃気楼とします)は、ともに大気の透明度
がいい状態で発生しました。そのため、双眼鏡がなくても肉眼で蜃気楼の様子が判りました。
このような好条件下で蜃気楼が発生することは、シーズン中1回あるかないかです。今回は、琵
琶湖大橋よりさらに遠方の山並み(ふだんは遠方のために霞んで見えない日がほとんど)が蜃気
楼化しました。観測地から推定60km以上はなれた風景が蜃気楼化したことは、琵琶湖での観測
史上初です。
この日、南湖で発生した蜃気楼をいくつかご紹介いたします。
琵琶湖大橋の守山側の橋梁が大きく2つに(横倒しのVの字型)分裂して見えます。この部分に写真左にある通常より高く伸びた橋梁がつながっています。つまり、分裂して見える部分は、本来の橋の上に倒立像が、さらにその上に正立像が現れている3像型の蜃気楼となっています。写真右端付近の湖上には赤色の帆をはったヨットが蜃気楼化して2像型の蜃気楼になっています。
写真中の一番上の実景と比較すると、写真Aでは博物館手前の港(杭状のものが多数並んだ部分)より後方部分が蜃気楼化しています。一方、写真Bでは博物館手前の港周辺が蜃気楼化したため、港の杭などが上方倒立像として現れています。蜃気楼は時間とともに形が変化していきます。
写真AとBともに観覧車より下部の陸地が蜃気楼化し、板塀状(風景の高さが水平一直線状にそろう)になっています。その部分をよく見ると、写真AとBでは微妙に違っています。判りますか?写真Aの右にはヨットが蜃気楼化して見えます。
写真Cでは観覧車の回転軸より上方に茶褐色の帯状のものがやや右上がりにかかっています。これは空気層の境界部分でかなり高い位置にあるといえます。
写真の一番上の実景をよく記憶して下さい。写真AからFまで各写真の左にある建物(=造船所)がビル状になったり形容しがたい形に変形しています。写真AからCでは橋より上方に見える山(=比良山)に若干の変化が見られますが、見過ごす程度。しかし、橋の橋脚は伸びと上方倒立が加わり長く伸びたように見えます。また湖面が蜃気楼化している様子も判ります。写真Cは湖上のヨットが2像から3像の蜃気楼になって見えます。写真Dは湖面の蜃気楼が太くなり、水平線下に隠れて見えないはずの橋脚支持台(フーチング)が逆さま像と正立像が接合して見えています。(1像目の支持台は湖面から微かに見えています)
写真E、Fは橋より後方の山のラインが他(写真A~D)と大きく違っています。山のラインが突き出した角状に変化しています。これも蜃気楼化によるもです。また、橋より後方の湖面(白っぽい帯状のもの)が伸びていることも判ります。蜃気楼をつくる空気層(逆転層)は1つでなく複数あることが写真E、Fから判ります。つまtり、湖面近を蜃気楼化させる層と、橋より高い山のラインを蜃気楼化させている層があるということです。特に写真Fの山のラインが角状に飛び出した部分より黒っぽい筋が右上がりに薄っすら見えます。これは空気の層の一つです。
■ 遠方の山の蜃気楼
写真AからDの琵琶湖大橋の後方に薄っすらと山のようなものが見えています。コントラストを上げているので、そのことに気付くと思います。この一連の写真に写っている山は、通常遠方(推定60km以上ある)にあるので、ヘイズの影響で見えることは滅多にありません。この日は、南湖・北湖ともに大気の透明度がよかったので、遠方の山が蜃気楼として見えたのです。写真Aでは山が、このWebページ中の他のところで紹介した根室の上位蜃気楼と似たような像となっています。時間の経過とともに山の上部が変化して、写真Dでは山の上端を水平に切り落としたかのような形(=テーブルマウンテン状)になっています。
一方、琵琶湖大橋ではふだん水平線に接するかのように見える橋梁から橋脚支持台が見え出し、伸びたり写真Dのように橋脚支持台が2像以上になって見えています。
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