蜃
気 楼 と は 何 か ?
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蜃気楼といえば、『海岸越しに異国の景色が(壮大に)見える』、『砂漠の蜃気楼』、『富山の蜃気
楼』などといったイメージがあると思います。しかしながら、テレビや新聞の報道で蜃気楼を知って
いても、実際に蜃気楼を観られた方が極めて少ないためにイメージが先行して自分の頭の中での蜃気
楼像があることと思います。なかには、間違った理解も少なくありません。
ここでは、蜃気楼について簡単にふれてみようと思います。
Ⅰ.蜃気楼にも種類がある? 蜃気楼は大気中で光が屈折することで起こる現象です。光は同じ密度の中では真っ直ぐ進みます。
密度の異なるところでは屈折や反射を起こします。(図1)
図1 密度の異なる物質(写真では「空気と水」)間で起こる反射・屈折 |
密度差のあるところでは、光は密度のより高い方へと進路を変えていきます。その結果、曲線を描
いて進むことになります。(図2)
図2 不均一な食塩水中を進むレーザー光線 |
大気の場合でいえば、大気の温度差が光の進路を曲げる原因になっています。そこで、水(地)面
から上方に向かって大気の温度が高くなっいく場合と低くなっていく場合が考えられます。また、水
平方向に大気の温度が異なっていく場合も考えられます。当然、上記の3つのケースでは光の進行状
態が異なってきます。しかしながら、どのケースでも我々の目に光が入ってきた方向に像が見えるの
で、普段と異なった光景が見えることには変わりがありません。
つまり、元の像に対して幻の像が上方に現れるか、下方に現れるか、側方に現れるかによって、“蜃
気楼を分類”します。(下の“蜃気楼の分類”の図参照)
Ⅱ.蜃気楼の分類(a、bには詳しい説明があります)
a.上位蜃気楼
元の物体を含めて、上方に像変化(幻の像)が現れます。このタイプの蜃気楼は珍しい存在で
あり、日本では定期的に現れる所として、富山湾周辺(富山県)、琵琶湖周辺(滋賀県)、オホ
ーツク海沿岸の網走・紋別(北海道)の3箇所しか確認がとれていません。
水(地)平線の下に隠れている物体(風景や船など)が見える場合があります。
通常、蜃気楼という語は上位蜃気楼を意味する場合が多いようです。元の物体の下方に像変化(幻の像)が現れます。このタイプの蜃気楼は日本各地で見られます
し、発生頻度も極めて高いのです。“浮島・浮景現象”や“逃げ水”がこの下位蜃気楼に属しま
す。よく耳にする“砂漠の蜃気楼”はこのタイプ(逃げ水現象)です。
c.側方(鏡映)蜃気楼
元の物体の横側に像変化(幻の像)が現れます。大気の温度差が水平方向にある場合に現れま
す。
大気中では、上記の2つの温度差に比べ、陸地や水上で水平方向の温度差がたやすくできない
ようで報告は極めて少ない状況です。しかし、身近な所で炎天下、熱く焼けた車のボディーやコ
ンクリートの塀の近くで見ることが出来ます。ただし、この場合は注意して見ないと分からない
かもしれません。
実際に水上などでの目撃例としては1818年(スイス)のジュネーブ湖東岸で見られたとい
う記録があります。また八代海北部(熊本県)で見られる不知火がこのタイプといわれていま
す。※ “側方蜃気楼”は適当でないかもしれません。適当な呼び方があればお教え下さい。