下 位 蜃 気 楼 に つ い て
下位蜃気楼は、日本各地で見られます。テレビや新聞では、秋冬に報道されていますが、実際は
通年発生しています。夜にも発生しています。
この蜃気楼は、決して“遠方の物体や景色”が見えることはありません。何故なら、上位蜃気楼を
発生させる“上暖下冷”の空気の層と全く逆の“上冷下暖”の層であるからです。
物体から出た光は下に凸の弧を描いて進む為に、水平線下に隠れた景色や物体からの光は、観測
者の目に 届きません。(地球の表面は球形で上に凸の球面とすると、この条件の場合の光は下に
凸の曲線を描くので、水平線下に隠れた物体からの光は上方にそれていきます)別名では、沈下蜃
気楼、モンジュの現象、浮島・浮景現象と呼ばれています。道路の逃げ水もこの蜃気楼のタイプで
す。アスファルト道路がない時代には、逃げ水現象は珍しかったと思いますが、現在では見なれた
現象ではないかと思います。
※ ミラージュ(Mirage)の本来の意味は、下位蜃気楼をさします。
【下位蜃気楼の発生環境】
1.大気の温度について 前述したように、水(地)面付近の空気の温度が一番高く、上空にいくにつれて温度が下がる空
気層(=上冷下暖の層)がある場合に下位蜃気楼が発生します。夏場のアスファルト道路の“逃げ
水”を思い浮かべてください。この層の厚さは薄く、1メートルもないと思われます。
2.気象条件について この下位蜃気楼が水上に発生する場合に限っていえば、秋・冬・春や、冬型の気圧配置が強ま
った時、深夜や早朝などによく見られます。水温より低い空気が水面上に存在すれば、水面付近
の空気は水温の方が温度が高いので、絶えず暖め続けられる為容易に上冷下暖の層ができるので
す。夏の場合、表面水温が25℃を超え30℃前後にもなることがあります。
一方、水上の空気の気温はそれほど高くないので、上冷下暖の層ができます。このような理由
から一年じゅう発生する可能性が非常に高いのです。
3.下位蜃気楼像について
下位蜃気楼像は、元の物体のある部分から下は見えなくなり、そこに下方倒立像が合体した像
が見られます。(図5)
この場合、見ている人には物体が水面に反射した像を見ているかのような錯覚を起こすこと
もあります。ある部分とは上冷下暖の層の厚さ、物体の高さと、観測者までの距離とが関係し
てきます。下方倒立像は少し縮んで見える傾向があります。また、下に伸びた像が見られたり
します。要するに、元の物体や風景の下に幻の像が見られるのが下位蜃気楼の特徴です。よっ
て、上位蜃気楼との区別は容易につくはずです。
物体から出た光は、より空気密度の高い(温度の低い)方へと進路を変えていきますから、下
に凸の曲線を描くことになります。図5のように実際に存在するABCDの部分が見えなくなり
ます。もし、図の矢印がこの部分までの高さなら、観測者には全く見えなくなるということで
す。代わりに、空が水面に反射したかの様な光景が見えることでしょう。
下位蜃気楼は、逃げ水であれば数10メートル先に見られるでしょうし、浮島・浮景現象なら
ば近い距離で4~5km先に見えることでしょう。ただし、上冷下暖の層との関係で10km前後
の方が見ごろの距離でしょう。秋・冬には、大気も澄んでいることが多いので、下位蜃気楼も
よく認識できます。また発生持続時間も長くて、一日中出現していることもあります。
観察には、双眼鏡などを持って観察しましょう!上位蜃気楼同様、大きな像ではありません
から・・・・・
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