2011年5月25日に発生した上位蜃気楼(2011年度観測第7号)

東岸の守山市木浜方面の蜃気楼| |Z字型になる琵琶湖大橋| 

琵琶湖大橋と比良山の裾野の蜃気楼| |フーチングと比良山の裾野の蜃気楼| 

湖面の蜃気楼| |西岸の大津市堅田の蜃気楼| 

草津市烏丸半島方面の蜃気楼|  |フーチングと比良山の裾野の蜃気楼2


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■ 2011年5月25日(水)に発生した上位蜃気楼
  
   今年は琵琶湖の上位蜃気楼の不作の年のようですが、経験的に上位蜃気楼が最も多く
  発生する5月になってようやく、5月らしい発生回数になってきました。
   この日は、いつもの南湖の上位蜃気楼(琵琶湖大橋のZ字型、東西の板塀状の蜃気楼)
  に加え、琵琶湖大橋の後方に位置する比良山の裾野が蜃気楼となりました。

 

 

 

 

■ 東岸の守山市木浜方面の蜃気楼
 
11052512h30m_moriyama01.jpg (100172 バイト)
 この写真は、東岸の守山市木浜町方面を撮影したものです。この写真は、高いビル群を除いた湖岸の風景が、水平一直線になっています。この様子は、上位蜃気楼の典型的な蜃気楼像です。我々は、“板塀状”の蜃気楼とよんでいます。写真の真中辺りに赤い屋根の建物が層状に変化して見えます。

2011年5月25日(水)12:30、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ Z字型になる琵琶湖大橋
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 この写真は、琵琶湖大橋の東側の橋梁を撮影したものです。この橋梁は、実際は水平線と接するかのように見えますが、蜃気楼となったことで、全体的に上方に伸びています。写真の中央付近で、橋梁がアルファベットの“Z”型に変形しています。これは琵琶湖大橋の橋梁が最高部から東(右)方向へ右下がりになっているために、橋梁が逆転層内で斜めに存在することになります。ですから、1像目の上に倒立した2像目、更に圧縮され細くなった3像目の正像が“Z”を作り出しています。また、写真の中央から右端の間には、伸びて箱型になった車が写っています。実際に双眼鏡で観察したりすると橋上を走行する車の面白い像変化を見ることができます。

2011年5月25日(水)12:35、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ 琵琶湖大橋と比良山の裾野の蜃気楼
 

11052512h39m_bridgeV02.jpg (94543 バイト)

 この写真も上の「Z字型になる琵琶湖大橋」と同様に、琵琶湖大橋の東側の橋梁を撮影したものです。写真の真中から左では橋梁が高く水平に伸びて、真中あたりは“Z”型の形状が崩れ、そこから右へは橋梁が低くなって見えます。本来の東側この橋梁部分は水平線に接するかのように見えますから、写真の中央から左の部分がかなり高く伸びていることが分かります。また、写真の左端の水平線上には、比良山の裾野が分裂している様子が見えます。この分裂して見える部分は、大津市北小松と高島市高島の境界だと思います。琵琶湖大橋から更に20km程離れた比良山の裾野が蜃気楼なって見えていますから、この日の湖上の大気の透明度の良さがうかがえます。

2011年5月25日(水)12:39、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ フーチングと比良山の裾野の蜃気楼

11052513h08m_bridge&footing01.jpg (100412 バイト)

 この写真は、琵琶湖大橋の最高部周辺を撮影したものです。琵琶湖大橋はアーチ型をしていますが、この写真では蜃気楼となったために高く伸びて水平に近い形状になって見えます。橋脚に注目すると、水面に接する部分とその上にフーチング(橋脚支持台)が現れています。つまり、フーチングは2像型の蜃気楼(正確には倒立像の2像目の上に圧縮された正立像が重なった3像型)となって現れています。フーチングは、なぎさ公園からは水平線の下に隠れて普段は見えません。
 また、写真の中央あたりに比良山の裾野が見えています。この裾野も普段は水平線に隠れて見えない部分が倒立して空中に浮かんで見えています。この部分は観測地点から30km以上(琵琶湖大橋から20km以上)遠方です。
 蜃気楼には“見えないものが見える”というイメージがありますが、日本から海外の風景が蜃気楼となって見える可能性は極めて低いといえますが、この写真のように“水平線に隠れて普段見えない物が見える”ということはあります。

2011年5月25日(水)13:08、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ 湖面の蜃気楼
 

11052513h13m_bridge&footing.jpg (97048 バイト)

 この写真も上の写真と同様に、琵琶湖大橋の最高部周辺を撮影したものです。琵琶湖大橋のフーチング(橋脚支持台)が2像型の蜃気楼(正確には、2像目の上に圧縮された3像目が合体した3像型)となっていたり、琵琶湖大橋の後方に位置する比良山の裾野の倒立像が見えています。その他に、2像目のフーチングの蜃気楼像(湖面上から数えて2つ目)に薄墨色の紐(ひも)状のものが右上がりに左から右へ続いて見えます。これは、湖面が蜃気楼となって空中に浮かんだものです。フーチングとの位置関係からは、湖面の2像目と3像目が合体したものだと思われます。興味深いのは、湖面の蜃気楼が水平でなく、斜め(右上がりの勾配)になっているところです。

2011年5月25日(水)13:13、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ 西岸の大津市堅田の蜃気楼
 

11052514h25m_katata.jpg (92719 バイト)

 この写真は、西岸の大津市堅田方面を撮影したものです。湖岸の風景が、上位蜃気楼の特徴的な像である“板塀状”の蜃気楼になっています。ただ、単に湖岸の風景が伸びと反転像が複合した蜃気楼像ではありません。よく見ると、写真の真中から左がよく見かける湖岸が板塀状の蜃気楼になったものです。一方、真中から右にかけては、湖岸が楔(くさび)状に小さくなっています。その上には、湖面の反転像等が楔状に(湖岸と逆に)大きくなっており、その上には縮んだ湖岸が見えます。限られた小さな範囲の左右で蜃気楼像の形態が異なるというのは面白いことです。湖上の大気の層(気温の逆転層)の複雑さがうかがえます。

2011年5月25日(水)14:25、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ 草津市烏丸半島方面の蜃気楼
 

11052514h31m_karasuma.jpg (99018 バイト)

 この写真は、草津市の烏丸半島方面を撮影撮影したものです。上位蜃気楼像の典型的な像である“板塀状”の蜃気楼になっています。水面と湖岸の境あたりに見える黒っぽい点々は、烏丸半島港のビット(船舶係留杭)です。このビットには変化は殆どなく、後方の景色が伸びたり反転したりして板塀状の蜃気楼となっています。写真の中央から左にかけて淡いベール(板塀)のように見えるのは、湖岸から離れた景色なので霞(かす)んでいた影響が考えられます。

2011年5月25日(水)14:31、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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■ フーチングと比良山の裾野の蜃気楼2
 

11052514h42m_Footing&Hira_c.jpg (101257 バイト)

 この写真は、琵琶湖大橋の最高部からやや東方向を撮影したものです。先に同様の写真を2枚紹介しましたが、この写真では、フーチング(橋脚支持台)が太くなって見え、湖面の板塀状の蜃気楼は消失しています。後方の比良山の裾野は途中から板塀状となり、本来は水平線の下に隠れて見えない部分までもが見えています。その右端は絶壁状になっています。この先端は湖西地方の高島市高島の明神崎(なぎさ公園から30km以上離れている)だと思われます。

2011年5月25日(水)14:42、大津市なぎさ公園おまつり広場より撮影(撮影者:房 英夫会員)

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