猪苗代湖の蜃気楼

■　猪苗代湖の上位蜃気楼

　　福島県にある猪苗代湖での蜃気楼情報は、今までありませんでした。昨年より、同県会
　津若松市にご在住の星弘之さんが興味をもって観察をはじめました。その結果、2002年３
　月１４日（木）に上位蜃気楼発生を確認されました。その後、同年５月６日（月）１２時
　頃にも上位蜃気楼発生を確認されました。星さんは、猪苗代湖へ毎日観測に出かけておられ
　ませんから、２００２年の２回の上位蜃気楼確認から猪苗代湖では富山湾や琵琶湖同様に、
　毎年同季節に、上位蜃気楼が発生するようです。
　　星さんが２００２年３月１４日（木）の１２：１２から１３：１４の間に撮影された猪苗
　代湖の上位蜃気楼写真や当時の様子を紹介いたします。

■　猪苗代湖と上位蜃気楼発生地点の関係

観測地点から対岸方向に現れた上位蜃気楼１

　対岸の建築物などが上方に伸びている様子が分ります。また、建築物によっては２から３重像になっています。

＜撮影年月日：２００２年３月１４日（木）＞

観測地点から対岸方向に現れた上位蜃気楼２

　一見すると、陸地などなく山からそのまま湖面へと続いているのでは？と思うかも知れません。よくよく見ると、湖面と山の間に茶色い陸地や赤色や青色の物体が何とか見えます。これは、対岸の湖面が伸び、対岸風景が上部はそのままで下部から押し縮められたようになったために、対岸風景がものの見事に縮んでいます。

画面の中央のこげ茶色で右方向に切れ込みを入れたように割れた一連のものは、何かは分りません。対岸の一部か、対岸に近い何かが伸びと上方倒立像を伴って蜃気楼化しています。

＜撮影年月日：２００２年３月１４日（木）＞

観測地点から対岸方向に現れた上位蜃気楼３

　これは「観測地点から対岸方向に現れた上位蜃気楼１」の撮影領域をさらに焦点距離の長い（＝より望遠効果が大きい）レンズで撮影したものを時系列的に並べたものです。ただ、上方に伸びて水平化するだけでなく、その細部は大きく伸びたり、２重、３重に変化したりしている部分が見られます。上位蜃気楼は、色々な像が複合されて見えることがほとんどです。

＜（撮影年月日：２００２年３月１４日（木）＞

■　上位蜃気楼発生当日（２００２年３月１４日）の様子

　　（星弘之さんからいただいたメール内容をご紹介いたします。）

猪苗代湖で上位蜃気楼を観察しようと思ったきっかけ	琵琶湖と地形が似ているので猪苗代湖にも出るのではないかと思っていた。
撮影日時	平成１４年３月１４日　　１２：１２～１３：１４の間
撮影場所	福島県会津若松市湊町の猪苗代湖湖岸（湖面よりプラス３ｍ）
天候	晴れ　薄曇り　（肌寒かった）　　前日は晴れ（会津若松市）
撮影地の気温	５℃　撮影後郡山方面（対象地へ近づく）へ高速道路で移動したが１５℃まで上昇していた。（車載温度計）
風向風速	撮影地では微風 ※　星さんから頂いた気象観測地点（地図参照）では発生前、発生中は風速３.０m/s以下の南よりの風（あくまで参考です。湖上での風向・風速ではありません）
撮影機材	レンズ　６００ｍｍ、６００ｍｍ×２（１２００ｍｍ）