超大型台風21号比良山麓に大きな爪痕を残す


風の風景 No.619

2017年10月22日(日)に強風域が広い超大型台風21号が東海に近づき、広範囲に暴風雨をもたらした。
勢力を維持したまま23日(月)午前3時頃静岡県御前崎付近に上陸。この頃比良山麓では豪雨と未曽有の強風で被害が発生した。
台風は早朝に関東を抜け仙台方面から夕方には青森の東海上へ抜けた。
台風は午前0時頃琵琶湖に最も接近したと推測されるが、100年に一度と言われるような強い北北西の風が琵琶湖へ流入した。
各地で強風や浸水による被害が相次いだ。北小松・和邇間で昨夜から停電が続いたが北小松では夕方5時頃にようやく復旧した。
比良山麓では広い地域で大木が多く倒れ、屋根や家屋に被害が出た。折節大雨で琵琶湖の水位も急上昇していた。
JR湖西線では強風により比良駅からすぐ北で線路脇の電柱が9本倒れ、何本かは線路をまたぎ、堅田・近江今津間は運休となった。
24日に復旧作業を終え、25日始発から湖西線は通常の運転に戻った。大災害にしては早い復旧であった。
湖西道路の和邇インター横の道の駅「妹子の郷」では南側の屋根が大きくめくれた。
これは風流による大きな揚力が原因と考えられる。南船路の志賀中学校では体育館の西の屋根が一部めくれた。
南小松の小松小学校の体育館ではガラスが割れたという。比良山麓では民家の屋根の瓦が飛んだり緩んだりする被害も多く見られた。
シモウェス気象観測点10点は25日にデータ回収を兼ねて、総点検を行った。八屋戸・木戸・鵜川を除く6点は正常に稼働していた。
3点は風向・風速計のアームが強風のトルクでそれぞれ30度、15度、5度くらい東周りに回転していた。応急修理を済ませた。

強風による被害の状況と観測データの処理・解析を行った第1報を以下に公表します。
被害状況の追加や考察は順次行い掲載していく予定です。
なお、比良山麓風被害マップは、これから作成していきます。

比良山麓風被害マップ
JR湖西線架線電柱9本倒壊 地形 倒壊区域 NHKnews(1) NHKnews(2) NHKnews(3) 25日始発再開
八屋戸八所神社神木倒壊 地形 国道沿い 八所神社 神木倒壊 がらんとした森  
近江舞子中浜松林倒壊・白砂激減 地形 積まれた松 雄松崎 南浜 北浜 松と段差
和邇道の駅「妹子の里」屋根剥離 地形 NHKnews(4) 修復工事進む
大津市立志賀中学校 地形 体育館屋根破損 拡大版 八屋戸気象観測点 修復工事進む
屋根の破損 屋根の破損① 屋根の破損②
巨木の倒壊 巨木の転倒① 昨年との比較① 巨木の転倒②

番号
2017.10.23.観測・解析情報
台風21号の経路と地上天気図
琵琶湖と比良山地周辺の風
ビワコダス・アメダス風比較
風情報:風ベクトル・風速・風向・最大瞬間風速
気圧・気温・湿度・雨量
風情報(福堂・野田・和邇南浜含む)
気圧・気温・湿度・雨量(福堂・野田・和邇南浜含む)
地上等圧線自動描画&風情報(三角形要素法)
spline統合解析画像(spline法:大西)
10最大瞬間風速(ビワコダス・気象庁)
112017年琵琶湖大橋付近の水位の変動

番号
2日間 10分平均風速・最大瞬間風速の推移
計測高度
長浜市加納町(stationN)観測所屋根上2m
彦根気象台(気象庁)観測所気象台設置
彦根市新海浜(立命館大学)観測所20m
東近江市福堂(stationH)観測所3m
高島市北船木(stationfn)観測所屋根上3m
高島市畑(stationB)観測所2m
高島市武曽横山(stationE)観測所3m
大津市北小松小字鵜川(stationC)観測所3m
大津市北小松(stationK)観測所屋根上4m
10大津市南小松(気象庁)観測所気象庁設置
11大津市北比良(stationA)観測所4m
12大津市木戸(stationD)観測所4m
13大津市八屋戸(stationF)観測所4m
14大津市和邇南浜(stationI)観測所4m
15野洲市野田(stationG)観測所4m

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