日本海高気圧が張り出し夕方には比良オロシが吹 -和邇沖でヨット転覆事故-


風の風景 No.442

9月15日(月)は、琵琶湖で悲しい事故が起きた。詳しい地点は定かでないが夕方和邇沖でヨットが12人を乗せて転覆したという。
そのうち5名が救助され、7人が行方不明となった。1941年4月旧制四高(現・金沢大)のボートが転覆(11人死亡)以来の大型水難事故だ。
日本海から張り出した高気圧の影響(日本気象協会15日午後6時の地上天気図)で昼頃から風が強まり、夕方には比良オロシが強く吹いた。
高気圧による比良オロシの例である。乾燥した空気で山頂には風枕はなかった。ヨット転覆は恐らく比良オロシによる突風によるものであろう。
北小松、長浜、栗東のビワコダス風観測による毎時最大瞬間風速を示す。比良オロシは湖北(長浜)に比べて遅れて吹き始めている。
屋根の上で15m/s程度であるから、湖上では20m/s近くの瞬間風速があったのではないだろうか。横腹から波を受け転覆したものと思われる。
湖上の風は複雑であろう。平均すれば比良オロシは一定の北西方向から来るが、実際は舞って複雑な動きをすると考えられる。
近江舞子沖で滋賀大学の遠藤先生が湖上ブイで観測されている風データをビワコダスに付け加えてみた。北小松での観測データによく似ているが、湖上はやはりやや強い風となっている。7名が1日も早く救助されることを願って止まない。

前に戻る