台風13号が東へ去り寒気が流入した琵琶湖大橋は下位蜃気楼


風の風景 No.355

台風13号20日(火)には東海上へ遠ざかり、北から寒気が流入し涼しい天気となった。早朝の琵琶湖の視界も良く遠くが見通せた。
早朝に小松浜から見る琵琶湖の遠方の景色は強い下位蜃気楼を見せていた。写真は琵琶湖大橋の下位蜃気楼である。
デジカメはOLYMPUS CAMEDIA UltraZoom 2100(光学10倍ズーム)である。2001年8月15日からほぼ1年間継続的に定点観察を行っている。
下位蜃気楼は実物の下に反転した虚像が見える蜃気楼である。湖面近くの空気の密度がその上にある空気の密度よりも小さい時に起きる。
空気が暖かく密度が小さいと屈折率が小さくなり光の速さは大きくなる。この時光線は暖かい方へ曲がり下から目に届くことになる。
この像は反転し倒立したものとなる。一方、折り畳み線から上にできる実像は直進してくる光線が作る像であると考えられる。
今日は終日下位蜃気楼が見られた。水面付近の温度が高いのに比べて上部は寒気が流入して冷えたこと(上冷下暖)による。
下位蜃気楼は fold line(折り畳み線)が存在することが特徴で、これと見かけの水平線との間に倒立した像ができる。
この幅を下位蜃気楼生成幅と呼び記号Δで表そう。今朝のΔは12ドット程度であったが温度差により2~24ドットの幅を観測している。
Δの値から湖面上の暖気層の幅を推し量ることができるのであろうか。Δの持つ物理的な意味、これは学問的に興味ある問題である。

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