北湖の上位蜃気楼

デジカメ画像提供&HP作成  琵琶湖地域環境教育研究会

28)2007年5月12日(土) 午後2時半過ぎに小松浜を訪れると、対岸では多彩な上位蜃気楼が出現

 快晴の好天に恵まれ気温が上昇。午後2時40分過ぎに小松浜へ観測に出かけた。今日は視界はまずまず。着くと既に琵琶湖大橋はZ型になり上位蜃気楼が進行中であった。双眼鏡で対岸を確かめると、今日は彦根から野洲川河口付近までの対岸で板塀状の上位蜃気楼が出現していた。しかし、沖島やラホーレ付近では上位蜃気楼の出現はなかった。
 午後3時を過ぎると沖島でも上位蜃気楼が現れ、これまで見たこともない複雑多彩な変化が見られた。30分ほど変化を続けたが、次第に小松浜では北東の風が強くなり、上位蜃気楼は実景へと推移した。
 5月12日(土)午後は、覆っていた移動性高気圧が東に去ったが、西日本では気圧傾度が小さく風は弱く、好天に恵まれ、気温は25℃近くまで上昇した。この日のビワコダス風画像によると、琵琶湖周辺では午後2時頃まで湖風を示したが、南湖では南西の風が吹き、蜃気楼の発生には至らなかったようだ。伴先生の情報では、南湖では北湖のような強い蜃気楼は観測されなかったという。また、午後3時前からは、北湖北部では北よりの風が強まった。この結果、午後3時半頃には蜃気楼が消滅したように思われる。
 小松浜からは、彦根以南~野洲川河口辺りまで板塀状の蜃気楼が午後2時半頃には見られたが、琵琶湖大橋方面では変化は強くなく、また沖島方面では午後3時を過ぎて多彩な上位蜃気楼が繰り広げられたことを思うと、暖気層の形成の要因がいくつかあることが推測される
 琵琶湖大橋方面の変化が弱いのは、恐らく南湖から吹く南西の風が原因しているのだろう。また、正午頃今津浜に立ち寄った際には全域(海津~沖の白石)で実景を観測しているが、これは北湖ではまだ暖気層が形成されていなかったことによると考えられる。
 小松浜から観測した対岸の上位蜃気楼の発生の暖気層の形成要因の解明はまだなされていない。暖気の移流とすれば、それはどこからもたらされるのであろうか。暖められた陸地からの暖気の移流は考えにくい状況にある。これまでの琵琶湖での蜃気楼観測から「上位蜃気楼出現の必要条件として【湖風の存在】が挙げられるが、近江盆地特有の暖気層の形成に湖風のメカニズムが関与していないか検討の余地を感ずる。午後3時から30分間程現れた沖島の蜃気楼が「上位蜃気楼生成の鍵」を握っているように思える。

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穏やかな好天に恵まれた琵琶湖では多彩な上位蜃気楼を観測 -今日は久しぶりに視界もまずまず-
琵琶湖大橋はZ状に変化 -太い眉毛状になったりしたが、対岸の方が多彩な変化を見せる-
沖島の多彩な変化を追跡 -最も遅れて多彩な変化が見られた(15:02~15:25)-
彦根方面 -遠く霞むが、多彩な上位蜃気楼 背後は霊仙岳-
彦根市薩摩方面 -多彩な変化を見せる-
安土方面 -非常に多彩な変化が見られた-
能登川 水道橋方面 -こんな多彩な変化は見たことがなかった-
岡山方面 -手前に就航船-
三上山方面 -板塀状の上位蜃気楼が続く-

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