今津町南浜からみる今年初めての上位蜃気楼

デジカメ画像提供&HP作成  琵琶湖地域環境教育研究会 松井 一幸

4)2003年2月10日(月) 多景島付近の多彩な変化


伴先生の解説
 多景島は観測地から約16km沖にある島である。その名の由来は、「島を見る方向を変えると様々な景色(すがた)に見えるから」だったと思う。この画像の多景島には、同じ方向から撮影しているが本来の姿は一つもない。僅かな時間変化で大きく姿を変えている。昔の人は多景島が蜃気楼化した姿を見て「多景島」と名付けたのかもしれないと思えてくる。
 撮影者の松井氏は、この多景島がふだん見る姿と違う「針状になった島(写真①)」を見て上位蜃気楼が発生していることに気が付いたという。遠方の景色ゆえ、ふだんから見慣れていないと見過ごしていまう変化だろう。見識の高さに今更ながら驚かされる。写真⑤には島の中央付近が裂けて水面が入り込んで見える。実は、島の下部と湖面の一部が蜃気楼化したために、中央付近が裂けて見えているのは、湖面の一部が上方倒立した像とその上部に正立像が接しているためである。今回、撮影する高さを変えると見事にその高さが変化した分の像変化が現れている。例えば②と③、⑤と⑥と⑦。時間の変化もあるが、双眼鏡の観測でもリアルタイムに視線高を変えると像に変化が現れた。(南湖の場合、その場で視線高を変化させても今回のような明確な像の差異が認めらた記憶はあまりない。)


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