2002.04.07. 明神崎から見た上位蜃気楼の時間空間的変化と考察

2002.4.10. 琵琶湖地域環境教育研究会 松井 一幸

 2002年4月7日(日)午後2時半頃に明神崎にさしかかると、湖面の沖合が白くなっていた。この日は曇り空であったので、
蜃気楼の出現を諦めていたが、白鬚神社前の石段から琵琶湖大橋の姿をカメラに収めた。そして、最下段に達した時、沖島を見る
沖島は板塀状になっていた。これは驚きであった。白鬚神社前石段からの蜃気楼の観察は初めてであったからだ。
 国道161号線に立って湖面から約5mの高さから沖島の民家を見ると、民家は鉛直方向に圧縮されて見えたが、
石段の下から見ると民家は大きく板塀状に伸びていた。観察する目線の高さにより板塀の高さが変化するということを知った。
 この観察が終わると、沖島以北の観察に移った。

1)沖島以北の様子(1)2002.4.7. 14:43
  14時43分には、荒神山から新海浜にかけて湖面近くの岸が板塀状になっていたが、能登川から南に向かうにつれて変化は小さかった。

2)沖島以北の様子(2)2002.4.7. 14:57
  少しずつ変化し、14時57分には、荒神山や新海浜方面の板塀状化は消失し、南の能登川や沖島付近の板塀状化が顕著になった。

3)沖島以北の様子(3)2002.4.7. 15:09
  15時09分には、能登川以南の板塀状化も消失し、沖島より北はほぼ実景に戻った。この時の様子を示す。

4)沖島以南の様子2002.4.7. 15:10
  沖島北の板塀状化が消失した頃、板塀状化は南へ移動し、長命寺山や岡山方面が少し板塀状化した。
  だが野洲や琵琶湖大橋方面はほぼ実景の姿を見せていた。だが、堅田から西へ進み、志賀町の和邇辺りは大きな板塀状を呈していた。

5)雄松崎の変化2002.4.7. 15:20
  その後、和邇の板塀状化が衰え始めると、雄松崎方面に異常が現れた。白い薄い湖面近くの逆転層が松林や砂浜を歪めていた。
  極めて短時間で急な変化は終わり、通常の実景に戻った。これを見届けて観察を終了した。

 観測を14時38分頃から15時20分頃まで行ったが、デジカメやデジタルビデオ、双眼鏡による観察は「板塀状蜃気楼は荒神山方面から雄松崎方面へ変化を移した」と結論付けられそうである。この日のビワコダスの風観測も明神崎沖では午後3時頃に風は北東から南西に流れていたことを示している。「暖気層は風に乗って湖面を這うように移動していく」と推論できそうである。

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