北海道苫小牧港からみた蜃気楼

苫小牧と蜃気楼発生方向と当日の様子||苫小牧港から撮影した蜃気楼写真||金子さんに気象状況の分析

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■ 苫小牧港から目撃した上位蜃気楼
  苫小牧港は太平洋側に面しており、現在、写真やビデオで上位蜃気楼発生確認がとれている
 北海道エリアでの初の上位蜃気楼発生報告です。(今までは、日本海側やオホーツク海側のみ)
  今回、北海道札幌市ご在住の金子和真さんから上位蜃気楼発生の報告とその蜃気楼画像を
 ご提供いただきました。金子さんは気象予報士の資格を持っておられます。


   

 発生年月日  平成14年5月6日(月)
 発 生 時 刻  14:30~15:30位
 天候  晴
 発 生 方 向  苫小牧港から西南西へ約25km離れた白老町海岸付近
 蜃気楼化した物体  白老町の海岸沿いの町並みなど
 撮影機材  オリンパスのC-700Ultra-ZOOM(光学10倍)に1.8倍テレコンレンズを装着したもの
 撮影・観測者  金子 和真さん

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■ 苫小牧港から白老町海岸方面に出現した上位蜃気楼
tomakomai-norm.jpg (39165 バイト)

苫小牧港からみた白老町の海岸方面(実景)

苫小牧港から西南西へ約25km離れた場所に白老町の海岸があります。

 

 

tomakomai-sin01.jpg (33457 バイト)
 対岸の海岸の建築物などが部分的に伸びたり、上方倒立、三重像になって、全体的にみて、海岸の風景の高さがそろって見えます。

 

 

tomakomai-sin02.jpg (29422 バイト)
海岸沿いの建築物などが伸び、高さのそろった白い帯状のヘイズのようなものが見えます。上位蜃気楼の典型的な板塀状になる変化です。またこの帯から突き出た煙突(昭和製紙工場の煙突)から煙が画面右方向に流れています。
 因みに、この帯状の上端までが「気温逆転層」です。もし、この逆転層が内陸まで続いていた場合、煙突がこの層より高いので問題はありませが、煙突が低ければ工場の煙はこの逆転層内から抜け出すことができません。つまり、煙突からの煙は層内で充満することになります。それは、地表付近の大気の汚染につながります。今では、煙突を設ける場合は気温逆転層(放射冷却により形成される気温逆転層など)より高くなるように設計しなければなりません。
 蜃気楼を発生させる気温逆転層の形成原因には何種類か考えられます。形成原因が異なっても逆転層が存在していれば、その層内で排煙の類い(排気ガスも含む)は充満することになります。しかしながら、海上や湖上で逆転層の影響で大気汚染の被害が出たことを耳にしません。一方、上位蜃気楼が発生するような日は、内陸部では放射冷却による逆転層が形成されやすく、この層内では大気汚染が起こっても不思議ではありません。「上位蜃気楼が発生する日や発生しような日は内陸部で大気汚染が起こる可能性が高い!」として注意の指標にしてみてもいいかもしれません。蜃気楼と大気汚染に関連があるとは、不思議なことと思いませんか。

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■ 金子さんが分析した蜃気楼発生の原因(メールでいただいた内容より)
1.総観的にみると、  
 ①本州をはさむように太平洋から日本海へかけて高気圧。 
 ②オホーツクはるか北東に低気圧。
 ③北海道南西部は①の高気圧下にあり、全般的に晴れで北西風となっていた。

2.局地的(白老アメダス要素)には、
 ①気温:朝6時頃(10℃)から夕方までほとんど変化なく、15時でも11.5℃で、とくに顕
  著な温度上昇はなかった。
 ②風:風向は15時には東(3m)であったが、次第に南よりになるにつれて弱まり、18時
  には0m、以降は北の風となった。

3.想定される逆転層形成理由
  日中の南よりの風は、局地的な海風と思われ、一般風の北西風との間で不連続線を形成
 し、逆転層ができたのではないかと今のところ考えますが、もう少し時間をかけて検討し
 たいと思います。

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