水平線下に隠れた風景を見せる蜃気楼

 琵琶湖大橋以北の湖西地域の北小松周辺から安曇川町の湖岸が蜃気楼となり、見えないはず?の遠方の風景を見せています。

                     


 蜃気楼は“見えないものが見える”と思われていると思います。このことについて、二つの解釈ができます。                                           
 前者は“蜃気楼が造り出す不鮮明な像が、見る人それぞれが頭中で勝手な解をすることによる像です。上位蜃気楼は実際の物体を不鮮明で複雑な像に変えます。つまり、インクのシミを刺激素材にしたロールシャッハ・テストみたいなもので、蜃気楼像が建物や動物などに見えてしまうことで、見た人それぞれに解釈が違ってきます。ですから、富山湾から近い陸地=朝鮮半島というような解釈が成り立つことになります。
 後者は、遠方の風景や物体が蜃気楼により見えてしまう場合です。上位蜃気楼を見せる光の行路は上に凸の曲線を描きますから、逆転層が広く一様に存在していてしかも光がなかなか抜け出せない状況であれば、地球の球面に沿って進むこと(ノヤ・ゼムリァ効果)があります。数百km遠方の風景や物体を蜃気楼像として見せることがあります。後者の場合、確かに異国の風景が見える可能性も少ないながらもあるわけです。これは特殊な例であって、頻繁に起こるものではありません。しかしながら、数十kmを超えると十分に水平線に隠れて見なくなることが多くなりますから、ノバヤゼムリヤ効果には及びませんが、水平線下の遠方の風景などが蜃気楼になって見える場合があります。
 ここで紹介する写真は、約40km前後の遠方の風景(湖西の安曇川町岸)が蜃気楼となって水平線上に浮かんでいます。


 

   

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琵琶湖大橋最高部付近の実景

 橋の後方、左から中央付近に山が見えています。地球の球面による影響で比良山地続きの安曇川町の湖岸(湖西地域)が水平線の下に隠れてしまう。矢線が示す部分で水平線の下に隠れています。

 

 

 

          

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遠方の蜃気楼

 上の写真の支柱とこの写真の左の支柱が対応しています。
 見ていただいた通り、後方の陸地が蜃気楼化しています。
 ピンクの矢線が指し示す方向にある線状のものは本来、水平線下で隠れた安曇川町湖岸が上方倒立したものです。
(安曇川町湖岸までは、撮影地点から40kmを超えています)
 緑の矢線の先をみると、陸地が2像に見えますが、実際は3像型の蜃気楼です。
 水色の矢線が指し示す周辺は、陸地が伸びています。物体の高低でも蜃気楼像が変わることを物語っています。通常でも、なぎさ公園おまつり広場から琵琶湖大橋が遠望できる日は珍しいのです。
 上位蜃気楼が発生する時は、特に視界が悪く成ることが多いのですが、このように橋の後方まで見えてその上、蜃気楼像となって見えることは、琵琶湖では非常に珍しいケースです。

撮影日:平成09年06月30日 




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