比良の八荒(八講)

                      1989.12.19.湖鮎ネットにUpしたもの
                      琵琶湖地域環境教育研究会   松井 一幸

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☆------------ BD21 [5554]AYU0169/1989-12-19 23:21:58/#1499 --------------
気象と伝説>比良の八荒(八講)     <KOMATU
 滋賀の自然 滋賀県科学教育協会  昭和35年5月1日発行 19ペ-ジより転載
 比良の八荒は,3月下旬から4月上旬頃に,寒風比良おろしが,比良山麓から湖上にかけて吹く北西または西北西の突風のことで,これによるいろいろの昔の物語も伝えられている.

 「比良の八荒,荒れじまい」と言われているが,冬の強い季節風の吹き終わりの頃の荒れを指したものであろう.

 過去の天気図を調べてみると,春先に発達しつつある低気圧が,日本海を東~北東進しこれに伴う寒冷前線によって,北西または西北西の突風性の強い寒冷な風が吹きおろしてくるのを,比良の八荒と呼ばれたものと考えられる.

 台風か冬季及び春先の低気圧に伴う寒冷前線等によって吹く北西または西北西の強い風は,ただ比良地方にだけ吹くものでなく,比良山系が存在するために,どんな理由で他の地方よりどれだけ強いかということにある.

 今一つは,冬型の気圧配置のときに,湖上および東岸地方一帯が晴れており,しかも,すぐ南の堅田が穏やかな時にでも,和迩川から北に行くに従ってやや強い風を感じると共に,しばしば比良山麓から湖岸にかけて「時雨」がある.この時雲は湖岸近くに止まり,沖合へは伸びて行かないのが普通である.

 この現象については,彦根気象台においても,科学的な現地調査を進め,種々の気象資料を得てその発生原因の究明につとめている.
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