2002年9月22日(日)台風19号比良オロシ追跡編

2002.9.23. 琵琶湖地域環境教育研究会 松井 一幸

 台風19号の接近で9月22日(日)未明から23日(月)未明にかけて比良山麓では長時間にわたって比較的強いオロシが吹きました。地上観察とビワコダス風観測、インターネット気象情報を交えて、簡単にレポートしたいと思います。ご意見やアドバイスがあれば、 メールをお願いします。

 2002年9月22日(日)にビワコダス風観測で得られた風データと、北小松での毎時最大瞬間風速の変化を示します。




グラフが示すように、北小松では22日(日)未明より比良オロシが吹き始め翌日未明まで続きました。上図はビワコダス-アメダス比較画像(青:ビワコダス、緑:アメダス)で、左は午後3時の風ベクトルの様子です。この日は北小松で北西の風が吹き始め、午後には県下一斉に強い北西の風を記録しました。比良山麓では午後からは蓬莱にある南船路観測所でも比良オロシを観測しました。アメダスの南小松でも強い比良オロシを観測しています。小松地域だけではなく比良山麓の広範囲に渡る比良オロシでした。
下図は北小松での毎時最大瞬間風速の時間変化を示します。今回のオロシは持続時間は長かったものの、最大瞬間風速は18m/sが最大でした。午後5時過ぎに北小松から比良、和邇に至る風や雲の様子を観察し、デジタルカメラやデジタルビデオカメラに収めました。

滋賀大学遠藤先生からの近江舞子沖3km湖上ブイデータとの最大瞬間風速の比較
次のようなメール「最近、湖上にテレメータブイを設置しました(でっかい黄色のブイです)。場所は、近江舞子の南東約3kmで、水深は75mです。まだデータの吟味は終わっていませんが、気象・水質・湖流などのデータをリアルタイムに研究室でモニタできるようになりました。昨日から今日にかけての強風も捉えられましたのでご参考までに、1時間ごとのデータを紹介させていただきます。実際には20分間隔のデータです。風向センサが、やや不安定のようです。」とデータをいただきましたので、北小松のデータと比較してみました。


遠藤先生のデータ(桃色)は、南小松アメダスの傾向とも一致していますし、北小松の最大瞬間風速の最大値にも殆ど一致しています。また、ここには示していませんが、いただいたデータは、最大値と平均値の比がおよそ2倍となる傾向も北小松での値とよく似ています。風向も北西(325度)から北よりの風の傾向を示しており、北小松での値とよく似た傾向となっています。湖上に浮かぶブイで風向や風速を測るのは難しいと思いますが、信頼性のあるデータが採れているのではないかと思います。

さて、デジカメにより観察した風の様子を見てみましょう。
弱い熱帯低気圧が南海上で台風19号に変わり、関東の遙か南海上を東へ進みました。22日(日)未明より比良オロシが北小松では吹き始め、終日吹き続きました。午前中の比良山頂には風枕は見られませんでしたが、午後になるとオロシ特有の雲が見られました。午後5時過ぎの北小松からみた堂満岳方面の風枕ですが、べっとりとかかるというよりは、少ない目の風枕です。


いつものように琵琶湖では比良山系よりオロシ風が吹き降り、湖面を叩きつけ、沖には白波が立っていました。22日(日)午後5時過ぎの琵琶湖の様子です。


場所をJR比良駅西に移動し、風の様子や雲の動きを観察しました。立っていられないくらいの強い風が降りて来ていました。風は釈迦岳と堂満岳の真ん中のロープウエイの山の上駅辺りから吹き下りて来ているように感じました。ここより右(東)では雲は東に流れ、左(西)は堂満岳の方へ流れていました。この様子をデジタルビデオカメラに収めました。


さらに南へ移動し、和邇北浜のJR高架付近から比良山系にかかる雲を観察しました。ここは殆ど無風で、蓬莱山辺りから雲がこちらへ向かっていました。これ以北の風枕は琵琶湖側へ移動し、以南は南の方へ移動していました。ここから風枕の様子を観察し、デジカメやビデオカメラに収めたのは初めてです。ビワコダス南船路観測所は正面の白いビルの湖岸にあります。午後6時頃には比良オロシは弱くなったことをビワコダスデータは示しています。比良オロシの強さが、小松>比良>木戸>和邇と変化していくのは山から湖岸までの距離に関係していると考えられます。蓬莱や和邇では平野部が広いためにオロシ風は弱くなると言えます。


台風19号の軌跡を見てみましょう。台風19号は弱い熱帯低気圧が22日(日)になって台風に変わったもので、暴風域(25m/s以上)はなく強風域(15m/s以上)を持つ弱い台風でしす。しかし強風域はかなり大きいものであったようです。北緯30度の線を越える前後から北小松ではオロシが吹き始めたことになります。関東の南に台風が来ると地上等圧線の流が北東から南西に流れ、比良オロシが吹く条件が整うようで、再現性がはっきりしている比良オロシの典型的パターンです。他の地域にもまして北小松から強風が吹き始めるという結果は、注目に値する事実ではないでしょうか。午後からは一斉型になっています。


22日(日)の3時間毎の地上天気図は以下のようになっています。上段は3時、6時、9時、12時で、下段は15時、18時、21時、翌日3時です。琵琶湖付近の地上等圧線の走行を見ると、12時まではやや西~東に寝ていますが、午後は北東~南西へ45度に流れています。低気圧が吸い込む反時計回りの風になっており、低気圧のスピードも遅く比良オロシが持続するパターンになっています。



 次に、県下で一斉の北西風が吹き、比良オロシが吹き続けている午後3時の西日本アメダスをみてみましょう。輪島では北東の風が吹いています。日本海沿岸でも北東の風が吹いています。内陸部では北~北西の風になり向きを変えています。このように比良オロシが強く吹くときには、他の地域でも同じような風向きになっていることを、今回も確認できました。


以上