最前線情報

琵琶湖地域環境教育研究会 松井 一幸 2011.12.03.Updated

<最前線情報 No.3>
2011年11月30日(水)20時頃から12月2日(金)6時頃にかけて、北小松では今冬第一級の比良オロシが34時間吹き続きました。
琵琶湖周辺の風の様子は、11月30日12月01日12月02日で知ることができます。
今回のヒラオロシは、北小松(VantagePro2sysytem)と南小松(気象庁アメダス)で吹き方が異なりました。
南小松では11月30日(水)の23時を過ぎてから吹き出し、12月1日(木)の夜7時を過ぎると治まりました。

12月1日(木)の早朝に小松浜から琵琶湖を眺めた様子と、御旅所から比良山系にかかる風枕風下波動の様子をカメラに納めました。 比良オロシが吹いた両日で、気圧・気温・湿度について気象庁の観測値とどのような違いが現れるかについて調べてみました。
 1)2011.11.30_12.01 気圧
 2)2011.11.30_12.01 気温
 3)2011.11.30_12.01 湿度
今回も比良オロシの強風時には「気圧に凹み」「湿度に下降」が顕著に見られましたが、気温については比良オロシの吹き出しで「気温は上昇」しますが、2時間程経過すると「吹き出し時よりも下降」する結果を得ました。
これは、フェーン現象においては「温度は上昇」であるのに対して、ボラ現象においては冷たい北西風であるために「気温は初め上昇、後下降」となるようです。

今回は、北小松において「気圧の凹み」が長時間持続しました。
ビワコダス北小松・北船木と気象庁彦根の3点で測定された気圧と10分(最大・平均)風速データの2日間の比較をしました。
上段は、比良オロシが吹き始めるまでの3点の気圧には殆ど差が見られないが、比良オロシが吹き始めると北小松の気圧に顕著に凹みが現れることを示しています。
中段は、10分間最大風速の時間変化ですが、北船木や彦根に比べて、北小松の瞬間風速が卓越していることが分かります。
下段は、10分間平均風速の時間変化ですが、ここでも北小松が卓越しています。
10分間最大風速と10分間平均風速の比は「突風率」と言われ「2程度になる」とありますが、今回の結果もそれを指示しているように思われます。

さて、この2日間において「ΔPの風速依存性」を調べてみました。ΔPは速さに比例する結果を得ました。
ベルヌーイの定理を応用して、前回の考察では「ΔPは速さの2乗に比例」するのではないかと予想していましたが、再考察を迫られることになりました。
ここが自然の面白く奥深いところだと思います。

書いている今(12月3日(土)の午後9時)現在、北小松では比良オロシが強く吹いています。湖西線は堅田-今津間が運休しているようです。
比良オロシの全容が解明できる日が来ることを目指して、さらなる調査・研究を進めようと考えています。

前に戻る